校長先生の小窓を開けると

第4回 私の好きな展示

米国のワシントン国立動物園のオランウータン(以下オランと略す)施設を紹介します。
ワシトントンDCにある多くの博物館施設の一つとして、スミソニアン財団が運営していて、国立とはいえ入園は無料です。

動物園の入り口の写真です。大きな旗には、誇らしく、G(ゴールデン).ライオンタマリンが描かれていました。それは、ワシントン国立動物園が、一時絶滅に瀕したブラジルのG.ライオンタマリンの国際血統登録の担当園となり、世界の飼育状況の調整や各園の協力を得て、野生復帰させた動物園だからなのです。
G.ライオンタマリンは、国内では唯一、浜松市動物園で飼育展示されていますので、是非、その美しい姿をご覧ください。ほんとに、うっとりするほど美しいタマリンです。

◆展示方法とO(オー)ラインについて

ここのオランは、居住(類人猿舎)棟と展示(シンクタンク)棟を高所に張った鋼索で結ぶ「O Line」と称する施設を、下の写真のように行き来しています。ここは1994年に新設されています。

この写真のように、オランが渡っている写真を私は撮影できず、知人にも依頼したのですが、入手できなかったのです。(オランが渡らない日もあり、時間をかけて撮影する必要があるようです。)
※渡っている上の写真は、こちらから引用しました

まず、居住棟です、ゴリラとオランが居住しておりますが、チンパンジーはいません
類人猿館の入り口です

入口にもオランは、ぶら下がっていますが、ニセモノです、本物は、横のタワーを、ご覧下さい。

内部です、

先ず、1番目のタワーが居住棟の外の放飼場に、建っており、ここから登ります。

居住棟と展示棟間は、8つのタワーでつながっています。

タワー上部のアップです。逃げ出さない工夫として、台の下には、電気柵が張られています。

最後のタワーです、展示(シンクタンク)棟の外放飼場に建っています。

日本でシンクタンクというと野村や三菱総合研究所などのように、政策や経営に関することの各種調査を請け負っている組織のことです。しかし、ここのシンクタンクでは、居住棟からやってきたオランの能力等に関する各種研究を行っています。例えば、オランを使い、ツール、言語、認知などの実験などです。

写真は、最後の塔から入ってくる最初の部屋です。

シンクタンク内は、見学は自由で、類人猿の生態や、その環境などの各種の解説や展示がなされています。

脳について学ぶタッチスクリーンです

脳の大きさの比較です

左から北米リス オランウータン ヒト アジアゾウ ナガスクジラ
私が訪問したのは2008年3月で、晴天でしたが、残念ながらオランは渡らず、しかもシンクタンク内は薄暗く、私が撮影したデジカメの写真はブレブレ状態。
あきらめ切れずに、他のチャンスの可能性を聞くと、「最近、オランも年のせいか、毎日は渡らないので、それは、オラン次第です」と担当者。実に、ガッカリでした。
さて、旭山動物園のオランウータンの展示が話題を呼んだのが2001年からです。一方、ワシントン動物園の施設は1994年に完成しています。この2園、何となく似ていませんか。
実は、チョット自慢話になりますが、旭山動物園が新施設を計画しているときに、当時の円山動物園の園長が、ここを訪れていたので、このタワーの写真をもらって、私が旭山に差し上げました。それを参考にしたとは思いますが、旭山は、旭山流にアレンジし、あのような形に完成したのです、さすがですね。
それまでの日本の動物園は、欧米の動物園(世界中に1,000園程度)の後追い(意地悪い人はモノマネと言います)になってしまうことが多かったのですが、旭山のオランやホッキョクグマの展示方法は世間の注目が集まり、それが社会現象となり、日本の動物園水族館が見直されるきっかけを作ったことは画期的でした。

おまけ

訪問した際、偶然にも、人工孵化のキーウィの幼鳥を抱くことができました。もちろん、人生初です。
抱いた感じですが、3ケ月の幼鳥で、かなり骨っぽく、しかし、力強く、というものでした。

卵です、アヒルくらいの大きさで、かなり大きいものです。

第4回 おわり