2017年度

第7回 【後編】東京動物専門学校卒業生の学校生活と最新就職状況

「校長の部屋」は特別編、最新の就職状況や入学から卒業までの様子を、2回にわたってお知らせしようと思います。
今回はその続きです。


5.実験動物・動物病院


JTクリエイティブ、埼玉医科大学、三協ラボサービス、ケーエーシー四谷どうぶつ病院、中馬動物病院、小鳥の病院、桜新町動物病院、チェルシーアニマルクリニック、以上9施設12名です。
内訳は、実験動物施設は4施設7名で、動物病院は5施設5名です。

冨里飼育場には、実験動物用動物のマウスやラットなどを多数飼育し日常管理をしているので、就職すると卒業生は即戦力になります。
そのためか、動物病院には毎年数名が就職しています。数年前まで本校にも動物看護コースがありましたが現在はありません。しかしながら、就職先の複数の動物病院長の話によると「本校の卒業生は動物の取り扱いや社会人としての基礎ができているので、すぐに仕事ができる」との理由で採用されています。また、就職人数が比較的多いのは、本人の自宅から病院が近いなど種々の事情も重なっているようです。

次に、最近5ケ年の状況です。

この表は、過去5ケ年間で3年(回)間以上就職できた施設です。
実験動物関係企業としては医科系大学や製薬会社などが想定されますが、直接採用とともに、派遣先になっているケースも増加しているようです。
次に動物病院関係は、本校に寄せられる求人の内、最多企業(203施設435名)です。
全国の動物病院数は年々増加し、現在は1万病院を超えているという背景があります。
数年前から、動物看護士資格が統一、一本化され「認定動物看護師」として発足し登録者数は17,489名(2017年4月現在)にものぼります。職種として国家資格化を目指していますが、今後の動向が注目されます。

6.ペット販売業

ペットのコジマ、COO&RICU、いぬねこcafeLuna、ヨネヤマプランテーション、AHB、こんぱまる、ペットランドゴリラ、東京アクアガーデン、以上8施設16名です。

最近5ケ年の状況です。

この表は、過去5ケ年間で、2年(回)間以上就職できた施設です。
ペットのコジマとCOO&RICUには毎年就職し、特にゴジマは27期生6名、26期生5名と複数名が採用されています。1ケ月間の施設研修やその他の実習などを体験した学生の多くが採用されています。

7.動物ふれあい施設

モフアニマルワールド、アニマルルームいけもふ、とりみカフェ、鳥カフェ、DOG HEART From アクアマリン、(株)ユニマット、6施設に9名が就職しました。

今回から、就職分類先に追加しました。それは、数年前からの新業態施設で、毎年コンスタントに就職しているからです。マスコミなどに取り上げられていることもあり、学生の認知度が高いことも理由の一つと思われます。実例として、就職後、数か月で施設の責任者になることなどから、本校卒業生の動物取扱の熟練度が高いことの一つの証明といえるかもしれません。
今後の動向が注目される業種です。

8.あまり知られていない就職先について

この5ケ年間に就職した「意外!珍しい? 」職場を紹介します。
(1) 宮内庁車馬課、式部職鴨場
車馬課は皇居内の宮内庁にあり、外国大使信任状捧呈式のための儀装馬車による送迎に使用される馬車や馬の管理等をしています。鴨場は市川市にある鳥類の飼育施設で、いずれも国家公務員になります。

参考:伝統引き継ぎ鍛錬の日々 宮内庁車馬課主馬班 (YouTubeが開きます。)

(2) 保育園・幼稚園
所沢文化幼稚園やしおん保育園などへ、毎年、就職しています。いずれも、園で動物飼育施設を有し、それらの動物を教育に使用しています。ある保育園長さんに採用の理由をお聞きしたところ、園の保育士さんは女性が多く、ほぼ全員、動物は苦手とのこと。そこで、本校卒業生を採用し、動物管理をさせながら、やがては保育士の免許を取得させようという計画ということでした。
参考:所沢文化幼稚園自然観察園のホームページ
(3) 養鱒(マス)場、養鯉(コイ)場、県養殖漁業協同組合、家畜改良センターなど、マスなどの川魚を養殖する施設や、牛・豚などの家畜の増殖改良などを目的とする独立行政法人の施設です。
以上、これで就職状況終わりにします。
就職が先になり順序が逆になりましたが、ここからは入学から卒業までの様子をお知らせいたします。

Ⅱ:入学から卒業まで

  1. 受験者の傾向
    表1は、23期から29期までの7年間の受験者総数(青色)の変化です。24期は23期と比較すると100名もの急増でした。その原因は、2011年5月にフジテレビの番組「リアルスコープ」を見た高校生や保護者が本校の様子を知り、それが受験のきっかけの大きな理由になったようです。テレビの影響力はとても大きいようです。その後は毎年200名を超えていますが、28期は少し届きませんでした。
  2. 合格者と入学者の傾向
    28期が合格133名で入学128名が最小数、24期が合格162名入学156名で最大数でした。
    合格者数と入学者数の差(入学辞退者)は、23期が8名と最大でしたが例年数名程度です。
    次に、試験区分別にみると、29期生154名中一般受験合格者は16名に過ぎず、他は推薦と若干のAO合格者です。そのため、本校を受験するには、学校からの推薦を受けていることが重要になります。
  3. 入学者数と卒業者数について
    いろいろな事情により退学者が出ています。学校では、退学防止のため全力を挙げて取り組んでいますが、ゼロにするためには相当な対策が必要です。
    退学者の割合は、23期生は20.1%(入136/卒108)と最大で、逆に、27期生は7.0%(入155/卒144)と最小でした。今後とも1名でも少なくなるように、指導に努めたいと思います。

まとめ

本校の入学から卒業までをお話ししました。この大学全入の時代に、あえて専門学校を選択する理由は何なのでしようか? 個人個人でその思いは異なることとは思いますが、本校に入学されれば、かなり濃密な2年間になります。多くの動物を実際に見て触り、エサを作り、さらに多くの研修・実習先で現場体験することで、自分に適した施設は? 動物は? という疑問への答えが自然に出てきます。
以上で、皆さんが、「まるで動物のような」本校を選択されることを望み、特集を終わりとします。

第7回 おわり