
こんにちは。東京動物専門学校 学生課の川原祥孝です。
前回は「動物園飼育員が感じるやりがいや仕事の魅力徹底ガイド」をお届けしました。
今回は、動物園飼育員のリアルな日常と、やりがいの裏側にある“本音”や“苦労”について紹介します。「飼育員は動物とふれあえる楽しい仕事」だけではない、“プロ”としてのリアルも知っていただけたらと思います。
【目次】
・動物園飼育員の一日の仕事とは?仕事内容と一連の流れを解説
・動物園飼育員の仕事内容を詳しく知ろう
・動物園ならではの施設・職場環境について知る
・動物園飼育員の大変なこと・苦労とは
・それでも続けたい、そう思える仕事です
・まとめ|動物園飼育員を目指すあなたへ
動物園飼育員の一日の仕事とは?仕事内容と一連の流れを解説
飼育員の一日は、動物の命と健康を守ることから始まります。現場で働く卒業生のスケジュールはこんな流れです。| 時間 | 仕事内容 | |
| 8:40 | 出勤・着替え・事務所内清掃 | 一日の始まり。気持ちよく過ごすために、皆が使う場所や身の回りをきれいにします。 |
| 8:55 | ラジオ体操 | 身体を使うことが多い仕事です。けがをすることがないよう、身体をほぐします。 |
| 9:00 | 車に乗車し、担当の放飼場へ移動 | 敷地の広い動物園では、基本的な移動は車やバイクです。 |
| 9:05 | ・放飼場への通路に固形飼料をまき、バックヤード(寝室)から放飼場へ誘導
・個体の有無と健康の確認 |
個体がきちんといるか、体調変化のある動物はいないか、エサ(朝の給餌)を利用して確認します。 |
| 9:30 | ・動物がいなくなったバックヤード(寝室)を清掃し、乾草を撒く | 動物たちが夜を過ごしたバックヤード(寝室)を清掃します。排泄物がたまっていたりしますが、これをそのまま放置すると病気になってしまう可能性があるので、きれいにします。 |
| 11:30 | ・清掃で集めた排泄物等をトラックに載せ堆肥場へ移動
・昼の給餌の準備 |
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| 12:00 | ・昼食(1名ずつの交代制・少なくとも1名は放飼場の観察) | 飼育員は、通常5、6名前後の班編成。その中で休日や昼食時間を調整します。 |
| 13:00 | ・昼の給餌 | |
| 13:15 | ・園内見回り、動物の観察
・その他の職員は清掃・獣舎の修理。治療の必要な個体がいれば、治療や手術を行う。 ・移動動物園等、教育普及活動 |
来場者が安全に過ごせているかなどに気を付けながら見回ります。また、時期に応じてイベントを開催している場合は、その対応も行います。 |
| 15:30 | ・夕方給餌分の餌を準備
・餌を用いるなどして動物を放飼場からバックヤード(寝室)へ移動 |
特にサファリパークの場合などは、なかなか思うように動かず、てこずることがあります。その時は、車を使って、追い込みますが、動物種と位置関係で、ホースなどで水をかけたり、長い棒を使用したりします。 |
| 16:30 | ・放飼場で出た糞の清掃
・個体の有無、健康確認 |
身体が大きい動物であればあるほど、出てくる糞もボリューム大!しっかり清掃します。
また、一日の終わりにも、健康確認を行います。 |
| 17:00 | ・フェンスの破損等の最終確認
・作業終了 |
|
| 17:15 | ・翌朝の給餌準備
・動物に異常があれば、上司へ報告 |
翌朝すぐ動けるように準備! |
| 17:30 | ・日誌の記入
・ミーティング |
仕事で大事なのはチームワーク。次の日は出張や休日で自分は不在かもしれない。情報共有と引継ぎは欠かせない! |
| 18:00 | 退社 |

動物園飼育員の仕事内容を詳しく知ろう
動物園の主役は動物。そのサポートを行う飼育員の仕事は、実際のところ表からは見えにくいですが、彼らの存在なくしては動物園は開けない、いわば“裏方”のプロフェッショナルです。具体的な業務内容
具体的な仕事内容は次のように分かれます。・飼育管理(給餌、健康管理、清掃)
・動物の行動観察・記録管理
・動物の搬出入
・繁殖・育成
・展示スペース、バックヤードの整備
・来園者へのガイド
・イベントや解説会などの教育普及活動
・医療サポート(投薬や処置の補助)
動物園ならではの施設・職場環境について知る
動物園は“非日常”で働く職場
飼育現場は屋外作業が中心です。作業場所は動物舎、展示スペースをはじめとして園内の様々な場所が対象で、動物園によっては森林や水辺、岩場など、自然環境を再現したエリアで作業します。天候に関係なく業務があるという点は大変なことの一つですが、数ある職種の中でも、動物園は、”非日常が日常”の仕事環境と言えます。安全が最も大事
ゾウやキリンなど、動物によっては人間とは比べ物にならないほどの体重があります。踏まれるようなことがあれば、それは大けがにつながります。また動物園にいるからといって、人間に危害を加えない保証は全くありません。むしろ安全を担保しなければ危害が加わります。特にライオンやトラなどの猛獣は、万全の安全管理が必要です。頑強な檻に二重扉を設ける、人間と猛獣が同じ空間に入ることのないような無人での給餌、無接触の清掃などの工夫がとられています。

動物園飼育員の大変なこと・苦労とは
飼育員は、「動物と毎日ふれあえる楽しい仕事」だけかというと、それだけではありません。飼育員の仕事は、体力勝負で感情のコントロールも必要です。たとえば、・・・・・・・。体力・能力が求められる場面
飼育員の基本的な業務の中に、飼育舎の清掃やエサの運搬、糞尿の処理があります。大型動物になればなるほど飼育舎は広く、エサや糞尿も重くなります。また、外仕事の多い職種です。真夏でも真冬でも、大雨でも大雪でも同じ作業を行わなければならない点では、体力が求められ、自身の健康管理が大切な仕事です。
動物との関係・健康管理の難しさ
動物は言葉を話しません。つまり、彼らの体調の変化には飼育する側が気づかなくてはいけません。一挙手一投足に五感をフル活用するという点では、観察力、集中力が必要な仕事ともいえるでしょう。また長年一緒に過ごしてきた動物が病気になったり、老衰で亡くなったりすることもあります。そのたびに悲しみや寂しさを感じることもありますが、それでも動物たちのために、次のステップに進むのが飼育員です。
清掃・エサやりなどの日常の大変さ
動物の生活は、人間の生活とは異なります。お風呂に入るわけではないし、水洗トイレがあるわけでもありません。様々な衛生部分で異なります。身体から臭いを発する動物と接し、野ざらしになった糞尿を掃除するのは、飼育員です。「髪の毛や体に臭いがつく」、「糞尿まみれの飼育舎を清掃する」といったことに抵抗感を持つ人は、大変な仕事と思うかもしれません。
しかし、そうしたことを担い、動物たちの生活を守るのが、飼育員としての仕事です。

それでも続けたい、そう思える仕事です
大変な仕事だからこそゆえに、命を預かる責任とやりがいがあります。動物が健康に育ち、来園者が笑顔になる姿を見るたび、「この仕事をしていてよかった」と感じる時がたくさんあります。
まとめ|動物園飼育員を目指すあなたへ
「動物が好き」――その気持ちはとても大切です。でも、その気持ちをプロの仕事として形にするには、知識・体力・覚悟が必要です。
東京動物専門学校では、現場をリアルに体験できる実習や、就職につながる学びの場が充実しています。
ぜひ一度、本校のオープンキャンパスで「本物の飼育現場」に触れてみてください。
次回からは、職場を変えて、「水族館」に焦点をあて、仕事内容ややりがい、大変さなど様々な切り口からお話ししたいと思います。
お楽しみに!
執筆者:川原 祥孝<学生課所属、飼育所(実習施設)副長>
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保有資格 | 薬剤師、愛玩動物看護師、潜水士、二級ボイラー技士、玉掛け技能者、小型移動式クレーン運転技能者 |
| 自己紹介 | 休日は、家族と過ごすことが好きです。特に外出が好きですが、訪問先でも仕事に使えそうな事を探してしまい家族に怒られることもあったり。仕事をする上で大切にしているのは、「学生が困難な夢に挑戦している時、適度な距離感を保ちながらしっかりサポートすること」です。学生の自主性を尊重しながら、よりよいサポーターでいられたらと思っています。最近はまっている趣味は投資で、企業を調べて、考え方に共感できた企業に投資しています。 |
