2018年度

第12回 【28期生】東京動物専門学校卒業生の学校生活と最新就職状況

2018年3月に28期生111名が卒業し、4月には30期生153名が入学しました。
そこで今回は、昨年の第7回前後編(卒業生の就職状況)を補完し、28期生の就職状況を報告しようと思います。


1.就職状況

卒 業 生 111名(A)
就職希望者 109名 (B)
就 職 者 109名
就 職 率 A 98.1%(就職者/卒業生)
or
B 100%(就職者/就職希望者)

今年も、希望者は全員就職することができ喜ばしいことです。
しかし一方で、私の悩みはというと、
1つ目は採用側の問題で、公立動物園の正規職員の採用が少ないこと、 2つ目は就職を希望しない学生がいることです。専門学校は、即、就職につながるための学校です、しかし、毎年2~3名おります。その理由は様々で、今年の2名の内の1名は、保育士などの資格を取るための進学であり、もう1名は、本人もはっきりしていない学生でした。特に統計はありませんが、結婚、出産、後継ぎ、など、稀には大学進学という印象があります。次に、進学とは、逆の例になりますが、10数年前から、大学の在校生や卒業生の受験者が時々、受験し入学しています。もちろん、数は多くはありません。大卒とは4歳の違いで、若者にとっては、大きな差異です。学校としては、学生のまとめ役とか、リーダー的なものを、少し期待しているのですが、人により、サマザマ、という感じです。

少し詳細にみていきます。

(1)分野別

この表のとおり、分野別では動物園水族館は併せて46名で42%と最も多く、ここ数年で初めて40%を超えました。第2位はペット販売など愛玩系で19名の17%。第3位は観光牧場などの11名の10%。この3分野で70%を占め、他は数パーセントでした。
27期生との大きな違いは、ふれあい施設がわずか2名(昨年度9名)と少ないことです。

(2)就職先施設名

動物園について、次のように4グループに分けて、説明します。
Aグループ
札幌市円山動物園、
仙台市八木山動物公園、
飯田市立動物園、

Bグループ
千葉市動物公園(*)、上野動物園(*)、羽村市動物公園(*)、
大島公園動物園(*)、横浜市緑の協会(*)、埼玉県こども動物自然公園(*)、
日本平動物園(*)、周南市徳山動物園(*)、のいち動物公園(*)、海の中道海浜公園動物の森(*)、

Cグループ
那須どうぶつ王国、宇都宮動物園、宝登山小動物公園、
伊豆アニマルキングダム、熱川バナナワニ園、
富士花鳥園、加茂荘花鳥園、大内山動物園、神戸どうぶつ王国、

Dグループ
東北サファリパーク、群馬サファリパーク、富士サファリパーク、
姫路セントラルパーク、秋吉台サファリランド

ア、 設置者別
AとBグループは、公立(都県や市立)動物園
CとDグループは、私立(民間)の動物園で、Cは動物園、Dはサファリ形式の動物園です
イ、 職員の身分について
AとBは公立動物園ですが、Aは市直営で職員も市職員です。一方、Bは指定管理者制度を採用し、職員の身分は指定管理者側の職員になります。多くの場合は、○○動物園協会という法人の職員になり、いわゆる公務員ではありません。
CとDは民間の職員、多くの場合はいわゆる会社員です

参 考  表に追加してみました。参考にしてください。

1.動物園

2.水族館

3.観光牧場

4.ペット販売業

最近5ケ年の状況です。

◆まとめ

最近の人出不足を反映しているものとは思いますが、28期生はあまり困らずに就職が決まりました。しかし、就職先の運営上の問題について、困ったことがおきています。
それは、指定管理者制度と動物園水族館側との相性の問題です。
指定管理者制度というのは、就職が決定したとしても、ほとんどの場合は(※後注)3年か5年の契約とか嘱託職員になります。つまり、飼育員として少し慣れてきた3年とか5年後には退職しなければなりません。育った人材が抜けてしまうので、当然のことながら、飼育される動物にとっても良くないことなのですが、採用した園側の班長・係長クラスの職員にとっても業務の負担が大きくなってしまいます。
上記動物園のBグループの園長などとお会いして話しをするのですが、指定管理者制度の運用については功罪様々な議論があります。指定管理制度をやめ、直営に戻した例も出てきたそうです。
私は、基本的に動物園水族館の飼育員については、適当ではない制度と思っています。

補足説明

※多くの契約とか嘱託職員の場合、毎年更新が行われその期間を合わせて3年間とか5年間でそれ以上は契約しないということです。ただし、その間に職員採用試験に合格し正職員となる場合も少なくはありません。

◆校長の動物写真館

30年間近く動物のそばで仕事をしてきました。その間に撮影した写真を紹介します。

オオワシ編

北海道札幌市の円山動物園時代のことです。開園(1951年5月)時、円山動物園の展示動物は、ヒグマ、シカ、オオワシと地元の動物3種4頭から始まりました。開園前に、札幌市郊外の小学校校庭で衰弱したオオワシを救助し飼育していたものを、当時の園長が自分のポケットマネーで譲り受けたものでした。このオオワシは2002年(平成14)まで長生きし、50年以上も動物園で生き続けました。愛称は、「バーサン」と呼ばれ、動物園の名物動物の一つでした。

最近の円山動物園は、ホッキョクグマの繁殖で話題になっています。
しかし昔は、オオワシで頑張っていた時代もあったのです。オオワシの繁殖の成功までには、長い試行錯誤の道のりが・・・。
そのお話は、別の機会に譲ります。どうぞ、楽しみにしていてください。

第12回 おわり